ホーム > ニュース > 2015年3月11日を迎えて > 様々なご意見について
新しい商品を世に問う場合、必ず否定的な御意見を賜るものであります。
本製品についても例外では無く、「ドアが開かなくて閉じ込められてしまったら…」とか、「酸欠で結局死んでしまう」、或いは「海に流されて漂流してしまう」的な御意見を、有り難く頂戴しております。
こういった御指摘は、商品改善の為の智慧の素ですので、有り難く胸に刻み、商品の改善に今後共邁進して参る所存ではございますが、よくある批判的な御意見に対して、この場を借りてお答えしたいと存じます。
当商品は、従来型の球形シェルターも、箱型のCL-HIKARi についても、覗き窓で外部の安全を確認して頂いた上で、位置と状況に応じて「小」「中」「大」の三つの換気口(大はシェルターのハッチです)を開放し、外気を取り入れて頂く機構を有しておりますが、「だったら、水没して酸欠になったら?」的な御質問等を頂く事がございます。
こういった御質問については、「その様な状況になった場合は、それこそが、私達の開発意図が達成された証でございます。」と、御回答申し上げます。
この商品を水没させる事は、可能性として相当程度低いと思われますが、完璧に押さえつけられて沈没する事が、絶対に生じないとは断言出来ません。
しかしながら、そういう残念な事態が生じたという事は、津波に被災し、「命を奪う一撃」から身を守る事が出来たという事の証左でも有ります。
津波に被災した場合、最も優先すべき事は「命を奪う一撃」から身を守る事であります。
これを達成する事が出来れば、次に何等かの困難が生じていたとしても、それを克服する為に、命有る限りチャレンジする機会を得る事が出来ます。
携帯で救助要請したり(通信環境が有れば、シェルター本体には電波透過性が有るので、密閉状態でも携帯は繋がります)、小窓を開けて命有る限りホイッスル(標準装備品であるライフジャケットの胸ポケットに入っています)を鳴らし続ける事も出来ます。
仮に水没していて、ハッチを開ける事が可能なら、決死の覚悟でハッチを開けて水上まで泳ぐ事にチャレンジする事も出来ます。
その時、ハッチが何かに押さえ付けられて開かなかったとしても、酸欠死するまでに、状況が好転する可能性に期待して、ただ「待つ」という機会を得る事も出来ます。
これが、この商品の開発目的なのです。
「命を守れる」だけで無く、「命を守れる可能性が高まる」のであれば、それだけで、この商品を開発した目的は、(不完全かも知れませんが)達したと言えると、私達は考えております。
皆さん、岩手県の大船渡市に、「大船渡津波伝承館」という施設が有ります。
私も訪問して大変勉強になりました。
「あなたに助かって欲しいから…」の理念の下、津波被害の当事者でおられる齋藤館長さんが、津波被害の生々しい体験談や、生死を分けた、ギリギリの境界線について、実際の映像なども交えて、解り易く説明してくれます。
津波被害について当事者となる可能性の有る方や、知識を得たい方には、遠くても足を運ぶ価値が有る施設です。
大船渡津波伝承館ホームページ http://ofunato-tunami-denshokan.jimdo.com/
さて、そこで実際に館長さんから聞いた話なのですが、生身のまま津波に流されると、人間は顔が無くなり、着ている服も全てガレキに揉まれて剥ぎ取られてしまう為、本人を特定する手段が、DNA鑑定や歯の治療痕以外無くなってしまうそうです。
仮に、流された家のリビングに残された水死体だからと言って、その家の住人であるとは限らない。そういう状況だそうです。
先の大震災では、別の家の方の死体を、自分の家族だと思って葬儀し、火葬前のDNA鑑定や歯の治療痕で別人だと解る例など日常茶飯事だったそうです。
辛い思いをされた方が読まれているかも知れませんので、この話はこれ以上深入りしませんが、私が何を言いたいのかと言うと、 「少なくとも私は、津波が迫って来た時、万難を排してでも、必ず生き残りたい!」と願うという事。 そして、 「仮に無念にも命尽きる事となった場合でも、この様な無残な死に方は、私の死を悲しむ人の為に、絶対にしたくは無い!」 そういう事です。
そして、この考えは、何も私個人の奇特な価値観という訳では無く、ごく普通の、誰もが一般的に抱く、自然な感情(願望)なのではないかと信じて、その願いに応える為、この防災シェルターを皆さんにお届けする訳であります。
ここまで読んで頂ければ、「海に漂流してしまったらどうするの?」的な御意見に対し、私と近い感覚を持って頂けるのではないかと信じます。
海に流されて漂流する事となった場合は、「命を奪う一撃」から身を守り切ったという事であり、それこそが、私共のこの商品の開発目的であるのだという事です。
当然、そうなってしまった場合の事を考えて、海上で漂流するこのシェルターが容易に発見される様、海難救助の際に最も視認性が良いとされるオレンジ色を、このシェルター本体の色として採用しておりますので、日本の優秀な海難救助部隊によって、最終的に救命される事を期待して開発しております。
以上、度々似た様な御意見を頂いておりますので、私共の基本的な考え方を改めてお伝えする事を通じて、御回答申し上げる次第です。
「あの日」から今日で早くも4年となりました。
東日本大震災で亡くなられた犠牲者の方々の御冥福を、心よりお祈り申し上げます。 合掌
平成27年3月11日
株式会社光レジン工業
シェルター事業部長 野中浩二
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